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お宿「山灯館」

山灯館

カーナビ任せで宿の近くまで来たのですが、国道を一本でも外れると狭い道が入り組んでいて下手をするとドン詰まりに入り込んでしまいそう。こういう状況で頑張っても無駄に時間を使うだけだろうと、客待ちをしていた力車曳きの兄さんに宿を尋ねることに…。「あぁ、そこなら僕が先導して走るんで、後を付いてきてください」と言うが早いか、ダッシュで宿まで案内してくれました。案内の兄さんは「こんなとこにホントに宿があるのか?」というホッソイ道へ…やっぱり地元の人に訊いてよかった。こりゃ自力で辿り着くのはほぼ無理ですな。

目的の宿「山灯館」に着いたのが17時半でしたが、まだ日は暮れきっておらず薄暮の中でチェックイン。北海道ではこの時期の18時などは辺りが真っ暗で「夜」という感覚ですが、これだけ明るさが残っていると18時が「夕方」という感覚がよく理解できます。それでも宿の方によると、「湯布院は日が暮れたら一日が終わりです。お店も夕方18時にはほとんど閉まってしまいます」とのこと。今日はこのまま食事を頂いて、温泉で疲れを癒して寝るしかなさそうです。

 

山灯館 避難ロープ

「山灯館」は隣接する「田乃倉」と姉妹宿になっていて、両館の宿泊客は互いにどちらの湯に浸かっても良いとのこと。せっかくなので全ての浴場を制覇しようと目論んではみたものの、男女の入れ替えの関係で叶いませんでした。

ちょっと珍しかったのは、部屋へ案内されたときに「避難ロープ」なるものを設置されたことでした。なんでも火災の時に非常口に行けそうもないときに、窓からロープを垂らして伝って降りてくれと…。以前にもすでに部屋に備え付けられた「避難ロープ」を見たことはありましたが、入室時に取り付けるというのは初めてでした。

 

山灯館にて

湯布院も黒川も、十数組の宿泊という規模の旅館が多いようです。ホテルに慣れてしまった身に、こうしたこじんまりした旅館の雰囲気はホッとします。オフシーズンなのか、大声を上げたり走り回ったりという子供もいないし、酔っ払って奇声を上げる阿呆もいません。(以前泊まったホテルで、深夜に「あけろ~!おらぁ~!」と叫びながら私たちの部屋のドアを叩く蹴るという酔っ払いに遭遇したことがあります…ああいうのって本人も馬鹿ですが、一緒に飲んでいてトコトンまで酔わせた輩にも責任がありますね)

今回は旅行会社のパックツアーだったので、あまり客室には期待していなかったのですが…窓から正面に由布岳が見える二階の部屋を割り当ててくれており、正味1日半の滞在とはいえ大満足の宿となりました。僕らの世話をしてくれた仲居さんも上品で話し上手な方で、食事の時には色々な話を聞かせてもらえました。

 

前菜 土瓶蒸し

粟餅 豊後牛の石焼

舟昆布蕪蒸し 稲庭うどん

部屋食なので、次々と食事を運んでくださいました。こうしたコース料理は、時間をかけて食べるからなのか、見かけ以上に腹が満たされます。この日の夕食も2時間かけてノンビリと頂きました。家にいると30分足らずで食べ終える習慣がついてしまっており、血糖値が上がる前に食べ終えてしまいますが、2時間かがりでは最後の方は「もう食べられない」と思える満足感に満たされます。

お腹一杯に満たされたら、あとは温泉を満喫して寝るだけです。さすがに一日がかりの移動だったので、21時ころには舟をこぎ始めてそのまま寝てしまいました。

 

和心

旅に出ても朝寝坊というのが出来ない体質なので、6時過ぎには目が覚めてしまいました。山に囲まれている西国の太陽はなかなか顔を出さず、外気はひんやりとしています。前夜は薄暮の中でハッキリとわからなかった紅葉が、日差しと共に鮮やかな色合いを見せ始めました…こういうのって、「日本に生まれてよかった」と思える瞬間です。

 

由布岳

窓からは山並みの向こうにある太陽に照らされた由布岳が見えていました。これだけ勇壮な山を近くに見るというロケーションはあまり経験したことがなく、感動させてもらいました。

ちなみに「由布」と「湯布院」で使っている漢字が違う理由を仲居さんが教えてくれました。もともとは「由布」だったものが、町村合併で「湯平」との合併時に「湯」の字を使おうという事になったのだそうです。ところがどうしても由緒ある「由布」を残したいという人も多く、結局「湯布院」と「由布」と表記を分けることになったとか…。

 

大通り

湯布院の街を縦貫する大通りですが、やはり歩道がなくて狭いですねぇ。実際に来るまではどの程度の大きさの温泉街なのか想像することもできませんでしたが、夜が明けてから散策に出てみると本当に小さな町のようでした。

 

金鱗湖

「山灯館」は金鱗湖まで歩いても2~3分というところです。この日は夜半から風が強く、朝になっても木々を揺らすほどの風が吹いていました。朝もやに包まれる金鱗湖を写真に収められたら素晴らしいだろうと散策に出てみましたが、夜と朝の気温差が少なかったり風が強かったりで朝霧は見ることが叶いませんでした。さらに翌朝も出かけてみましたが、小さな湖の端から端まで見通せるほど朝霧の欠片も見られなかったのが残念。

 

日本の朝 定番が最良

湖の散策から戻ると朝食が運ばれてきました。焼鮭に味海苔、湯豆腐と香の物…やっぱり日本の朝食はこうした定番が一番です。ホテルに泊まって朝一番からバイキングというのは、一日の始まりとしてはどうかと思うところがあります。一人で出張に出掛けると、たいてい朝食はパスしてしまいます…バイキングは基本的に好きになれません。

小腹を満たしたあと、朝風呂をサッと頂いて、いよいよ本格的に湯布院の散策に出発です。


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コメント 2

びーんず

こんばんは。

力車曳きのお兄さん、すごく親切ですねぇ☆
そして辿り着いたお宿・・・すごく素敵☆
避難用ロープは笑えましたが^m^
窓からの景色も見事ですね!!
金鱗湖の写真は額に入れて飾りたい位、好みです♪

湯布院ってもっと栄えてる町かと思ってたので、意外でした。
それと・・・
由布と湯布。言われるまで気付きませんでした(^_^;)
そういえば、漢字が違いますね(笑)
上品なお料理を拝見させてもらって・・・
次は湯布院の散策ですね!楽しみです♪
by びーんず (2010-11-23 23:43) 

aqua_papa

> びーんずさん                 

力車曳きの兄さん、「あ、教えてくれたら自分たちで行きますから」という言葉を発する間も与えず、脱兎の如く走り始めてくれました。
たしかに言葉じゃ分からないような小路に旅館がありましたから、兄さんの行動が必然性があったんだなぁと思います。たぶん道を尋ねる人が多いんでしょうね。
湯布院は本当に車が入っていけるのかどうか分からないような小路が多くて、ビックリしました。
by aqua_papa (2010-11-25 21:46) 

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